ヘナの葉(上)、花(左下)、実(右下)
ヘナ(ヘンナ)は、ミソハギ科の植物で学名はLawsonia inermis。日本では「指甲花(シコウカ)」または「ツマクレナイノキ」と呼ばれてきました。インドでは古来から薬草として親しまれて、アーユルヴェーダ(伝承医学)の代表的なハーブとされてきました。
インド、北アフリカなどの乾燥した地域に育ち、木は高さ3~6メートルほどにまで成長します。芳香のある白や薄紅色の花を咲かせるのも特徴です。
ヘナは多年生の植物なので秋の収穫時期には根元の株の部分を残し、そこから上を鎌で刈り取ります。株を残しておくと枝葉が伸びてきて、翌年も収穫することができます。女性の親指の太さまである枝や幹を刈り取るのは大変力が要る仕事です。
ヘナは、学術的にはこのミソハギ科の植物を指しますが、ヘナを配合した天然原料の白髪染めの総称を「ヘナ」と呼ぶのが一般的です。
ヘナは草木染めと同じ仕組みで染まります。植物の色素で染めるので、優しい染め上がりです。ヘナの葉には、ローソンという赤色酵素色素が含まれています。ローソンはタンパク質に反応してからみつき発色する性質があります。人の髪はもちろん、肌や爪も染まります。
古来では、クレオパトラが爪に塗っておしゃれを楽しんだり、ウールで出来たペルシャ絨毯などの赤い染色にも使われてきました。
ヘナ100%で染めた場合
このローソンが、髪のキューティクルのすき間から浸透し、毛髪の97%を構成するケラチンというタンパク質(毛皮質)にアメ状に絡みつくことで髪が染まります。
ヘナの葉を乾燥・粉末にしたものをお湯に溶いて髪に塗ります。ヘナのみだと白髪はオレンジ色にしか染まりませんが、藍色の色素をもつインディゴ(ナンバンアイ葉)などを加えることで2種類の色素が重なり、濃いブラウンに染まるようになります。
グリーンノートヘナシリーズは、明るいブラウンから暗いブラウンまでお楽しみ頂けるよう、高品質のヘナやインディゴの他に様々な色素や作用をもつハーブをブレンドしました。
グリーンノートヘナの特徴は、どんな白髪でも濃くしっかり染めること。長年の研究による、様々なハーブの掛け合わせの配合技術で実現しました。
グリーンノートヘナがしっかり濃く染まる秘密
ヘナ+インディゴ等で染めた場合
ヘナ(ヘンナ)は植物性で体にやさしく染めるだけでなく、自然のめぐみがもたらす素晴らしい効果があります。インドのアーユルヴェーダ(伝承医学)では薬草として伝えられてきたハーブですので、人々の生活の中に根付き、様々な場面で役立てられてきました。
髪のタンパク質を補修する効果により、ダメージを補修し、髪内部の保水力を高める作用があります。また頭皮にやさしく作用し、毛穴を掃除したり、頭皮をみずみずしい状態に導く効果があります。
まさにハーブのヘアパックですから、たっぷり塗り、時間をおいて、頭皮と髪を癒してあげましょう。そうすることで、髪にハリとツヤが生まれ、頭皮がより健康的になっていきます。
ヘナの効果で驚くのは、どんなタイプの髪の悩みにも素晴らしい効果があること。細くコシのない髪にはハリを与え、ボリュームアップします。クセ毛の方、髪が太くてごわつく方はまとまりやすく変化し、また、乾燥してパサついた髪には艶やかな潤いを与えしっとりさせます。
太い毛から細い毛や乾燥毛まで、あらゆる髪質に万能にトリートメント効果を発揮するところがヘナの最大の魅力です。
染めるだけじゃない!ヘナ効果
ヘナできれいになった毛穴
染めるたびに、本来の健康な髪質に整えますので、化学染毛剤のように使い続けるとことで、髪や頭皮を傷めることはありません。むしろ健康になっていくのも、ヘナの嬉しい特徴です。
ヘナの歴史は古く、紀元前5000年前から宗教的なペイティングや染毛料、薬や防腐剤として使われてきました。
古代エジプトのクレオパトラがヘナで爪や髪を染めていたという話や、旧約聖書のなかにもヘナに関する記述が残されており、歴史の深さを窺い知ることができます。
ヒンズー教では、美と豊饒と幸運の女神であるラクシュミー(仏教では吉祥天と言われる)が、ヘナをとても好んで使っていたと伝えられていますが、そのため結婚式などのお祭りの行事に、手や足などにヘナタトゥー(メヘンディアート)を施してお祝いをする習慣が今でも伝えられています。
5000年前から現在にいたるまで、途絶えることなく、人類は、ヘナという染料を選んできたことがわかります。その歴史は、「ヘナが身体にやさしく安全な染料である」ことを、強く証明していると言ってもいいでしょう。
ヘナタトゥを施すインドの花嫁
ヘナは世界三大伝統医学のひとつ、インド古来の伝承医学である「アーユル・ヴェーダ」において、自然がもたらす万能薬と位置づけられています。
ヘナは古来から、皮膚病予防、止血、おでき、やけど、打撲症、防腐剤、皮膚炎等殺菌効果があるとされてきました。
葉を煎じたものは軟膏や抗炎症薬として使われたり、今でもインドでは、水虫に悩むとヘナを塗って癒したりする習慣があるそうです。またその他にもヘナには、体温を下げる作用があります。真夏日には40度以上に達するインドの人々は、ヘナを頭に塗って暑さを凌ぐこともあるそうです。
ヘナが日本で利用されるようになってまだ20年近くしか経ていませんが、欧米では1世紀以上の歴史があります。染料としてのヘナは、アジアや北アフリカあたりでは古くから利用されていたようですが、ヨーロッパでは、涼しい気候のためにヘナが生育できず、長い間、ヘナが流通することはありませんでした。
ようやくヘナが伝わったのは19世紀。トルコからの流通網が発達するに伴い、ヨーロッパの女性もヘナで髪を染めるようになっていきます。20世紀はじめ、当時のオペラ界のスーパースター、アデリーナ・パッティが、ヘナを使い、美しい豊かな髪を演出し多くの女性たちを魅了しました。これによりヘナは、さらに知名度をあげることになったのです。
21世紀に入り、欧米やEU諸国では化粧品の安全性に対する基準が厳しくなっています。特にEU諸国では2011年、染毛剤の代表ともいえるパラフェニレンジアミン(ppd)の発がん性が証明され、全面禁止となりました。近年でも健康への影響が危険視される化学染料が、数多く規制されています。
そうした中、ヘナは世界中の自然派の愛好家に強く支持されています。歴史に裏打ちされた安全性があり、さらに安心なだけでなく薬草としてのハーブの魅力に溢れているからです。
ヘナは植物の色素で穏やかに染める「草木染め」であり、元の髪色に重なって染まる仕組みです。ご注意いただきたいのは合成のヘアカラー(化学染料)と染まり方が違うこと。
ヘアカラーで染める場合、全体をブリーチしながら染めるので白髪も黒髪も均一に同じ色に染まります。しかし、ヘナは植物成分の為、そうはいきません。白髪の部分だけがメッシュ状に染まり、黒髪は色によっては暗く重なります。これはヘナにブリーチ作用がない為に起こること。ヘナの色選びで失敗しないポイントは、きちんと白髪の割合に合わせて色を選ぶことです。
白髪の割合が少ない方は明るい色のヘナ、白髪の割合が多い方は暗い色のヘナをお選びいただくと、染まりが美しく仕上がります。
ブラウン系のヘナの場合、染めた直後は緑色に発色する場合があります。これは草木染め特有のプロセスで、このあと緑色に発色した部分は、空気に触れることにより、だんだん目的の濃いブラウンに変化します。大切なお出かけの前などは、日にちに余裕をもって染めましょう。
空気に触れることで濃いブラウンに!
ヘナは髪や体には安心ですが、まれに「草木かぶれ」という植物アレルギー症状を起こす方がいらっしゃいます。その為、ご使用になる場合には必ずパッチテストを行ってください。
パッチテストの方法